晴れ

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晴れ

病院に到着するとお母さんとお婆ちゃんが出迎えてくれ、私は途中で買った花を大事に抱えたまま病室へと向かった。 「おう、よぉ来たな。」 おっちゃんはいつも通り笑っていた。私とお兄ちゃんもおっちゃんに駆け寄り「なんなん、元気やん。」と笑った。先程までのモヤモヤふわふわは何だったのか。それから数時間、何事もなかったかのように学校の話をしたり一緒に絵を描いたりした。 とても晴れた温かい一日だった。 「じゃあそろそろ帰ろか。おっちゃんも疲れてまうから。」 そうお父さんに言われ、私達は口を尖らせた。だが私達以外はみんな穏やかな顔をしていて駄々を捏ねられるような空気でもなかった。 「そうや。これな、おっちゃんの撮った写真。好きなやつ持って行ってええで。」 大人しくなった私達を見兼ねたのか、おっちゃんは今まで撮り溜めて大切にしていた写真のファイルを取り出した。私はおっちゃんの写真が大好きだった。見た事のない自然いっぱいの風景、真っ赤な可愛いお花。会う度に私の知らない世界を教えてくれた。 「じゃあ、これとこれ!」 私が選んだのはお気に入りの花の写真と、何でもない近所で撮った自分の写真。 「ええんか?これめっちゃ不貞腐れた顔しとるで。」 「ええねん。だっておっちゃんに撮ってもらった初めての写真やろ。記念や記念。」 別に気に入っていた訳ではなく、おっちゃんに私の写真を持たれているのが何故か恥ずかしくて、奪い取りたかっただけだった。 その日はそのまま帰宅し、もらった写真をベッドのフレームに飾り眠った。
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