喫茶 森の貝殻のランチ

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私は、いおり君の移動販売車に乗せて貰って帰っている。 今日は、もうクタクタだ。 肉体疲労はないけれど、精神的疲労が大き過ぎた。 栗さん達が笑顔で帰ったから良かったものの。 あの一触即発なピリついた空気は、味わいたくない。 大きなため息が出た。 運転中のいおり君もビックリだ。 苦笑いを浮かべながら「どうかしましたか?」なんて言っている。 「ため息の大半は、いおり君が原因なんだけど」 いおり君は、分かっているのかいないのか。 ニコリと笑う。 すごくいい笑顔で、人の良さそうな顔だ。 こんな顔、家でしてたかな。 不思議がっていると 「ため息なんて吐いたら、花に毒なので車内では控えてくださいね」 とやたら棘のあることを言われた。 花に関することには、厳しいいおり君に最初はあっけにとられていた。 けれど、だんだん腹がたってきた。 どういうことだと言おうとしたけれど、すでにマンションに着いてしまっていた。 冷たく「降りてくださーい」と声をかけられて降りるしかなかった。 行き場のない怒りは、ドアを強めに閉めることで逃した。 いおり君が後ろで、なにか言ってたけど気にしないことにした。 帰ってきて花香りに包まれる我が家の匂いを吸い込むと、さらにドッと疲れが出てきた。 今日は絶対、お風呂掃除ジャンケンに勝たなければと、拳を作って力を入れた。
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