喫茶 森の貝殻のランチ

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いおり君は、片付けがあると言ってまだ駐車場にいる。 いおり君より先に帰ってきたのだからと、さっそくキッチンに立った。 店で少し余った牡蠣のチャウダーを持って帰らせて貰った。 本当は駄目だけど、マスターは「ボーノだもんね」と美味しいを理由にホイホイ持って帰らせてくれるし、自分も持って帰る。 本当は駄目だけど。 温め直して、買い足してきたフランスパンを包丁で切る。 小麦の香りがたってきて、パンの匂いとチャウダーの匂いが交わって、お腹が減るスピードも早かった。 レタスを千切って、リンゴを切ってドレッシングで和えた。 形になった夕飯に、一安心した。 片付けを終えて少し遅れてダイニングに入ってきたいおり君は、声に出すほど驚きを隠せない様子だった。 「私の早業に驚いたでしょう」 と鼻高々にしていた。 「すごいよ、彩果さん。でも……」 いおり君は、車内での威勢がどこに言ったのか歯切れ悪かった。 妙だと思って「ハッキリ言っていいよ」と促した。 喋っている間に冷めちゃうといけないから、夕飯にすることも忘れずに。 いただきますと、私が手を合わせるといおり君も私に倣って手を合わせた。
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