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「マスターのおかげなのかなぁ」
ダラダラと洗い物をしながら、私はぼんやり考えていた。
いおり君に出会ったのは、実は見合いの席が最初ではないらしい。
私は全く覚えていない。
しかし、ここ香川県に一時的に住んでいた記憶はある。
そのときに、会ったことがあるそうだ。
私が小学6年生の時で、いおり君が2年生だったらしい。
その頃から、すごく真面目で転校してきたのにも関わらず、登校班の班長に選ばれた。
私は遅刻魔のいおり君の家まで叩き起こしに行くほど、真面目に班長の仕事を真っ当していたようだ。
そのせいなのか、いおり君もいおり君のご両親とも仲が良かったらしい。
全然、覚えていないけど。
ちなみにいおり君は、この頃からお人好しだったそうで、いじめられっ子体質だったみたいだ。
ある時、下校途中にいじめられたので、私にしがみつきながら帰っていたそうな。
私も蹴られるわで叩かれるわ、かすり傷をおった。
その時、通りがかったマスターが喫茶 森の貝殻に招いてくれて、傷の消毒やら、美味しいお菓子やらをご馳走してくれた。
マスターの記憶は薄っすらある。
その後から遊び場として場所を提供してくれていたはずだ。
簡単な料理を教えて貰ったり、紅茶の入れ方、食材の旬を教えてもらったのだ。
それで、食の道が気になったと言っても過言ではない。
こうなったら、マスターが導いたと言ってもいいくらいだ。
けど、あのポヨポヨのお腹のマスターだしなとも思い、偶然として片付けた。
洗い物が終わるといおり君もお風呂掃除を終えていた。
ヘトヘトになって出てきたいおり君に、お礼のハーブティーを振る舞った。
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