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5 巫女
部屋に戻った絵麻は、改めて時神に感謝した。
「マルちゃん、お陰で彼とお付き合いできることになりました。ありがとうございました」
「まず、希望が叶ってよかったの」
「これで借りは返してもらったから、私はもういいよ。マルちゃん、このあと、どうするの?」
時神は、珍しく神妙な顔つきになって、絵麻に言った。
「今回のことでわかった。おぬしには巫女としての隠れた才がある。そのお陰で、わしもおぬしを通じて、あの者の過去の中に簡単に入ることができた。やはり、わしの見立ては正しかったようじゃ。おぬしは、立派な巫女じゃ。どうかね、わしの助手として、これからも、わしを手伝ってくれんか?」
「え? 急にそんなこと言われても……でも、助手になったら、何をするの?」
「何、簡単なことじゃ。わしが選んだ者に時間遡及療法を施す入口の案内役を務めてくれればよい。今回、おぬしが木藤信司にやってくれたのと同じじゃ」
絵麻は、本当にそれだけ? とでも言いたそうな表情をした。
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