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信司は目覚めた。
そして、戸惑った顔で目の前の絵麻を見つめた。
「俺、夢で小学生に戻って、君と会った。そして、君をいじめていたのに、別れる間際に、仲直りできた」
「ホント!? それはよかったぁー!」
絵麻は、初めて知ったかのように驚いて、そして喜んでみせた。
「でも、これは夢だったんだよね。本当の過去は書き換えられるものじゃないから」
「いいえ、あなたの今の夢が私たちの共通の過去なの。私、だからあなたのこと、ずっと待っていたんだよ」
「そんなはずは……だって、今の今まで、君をいじめて、そのまま離れ離れになって……君は今も俺のことを大嫌いと思い続けているとばかり……」
「そうではないの。あなたは、あなただけの思い込みの中に閉じこもっていたのよ。それを、セラピーの夢の力で、現実どおりの過去の記憶を呼び起こしたのよ」
「そんなことが……すぐには信じられないけど、君がそう言うなら……。そして、君がそれをやってくれたってことだよね」
「そう。私、神様にお願いしたんだ。あなたとの縁が戻りますようにって。そしたら、神様って本当にいるのね、その願いを叶えてもらったの」
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