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「では、今後のために、もう少し説明してあげようかの」
そう言って、時神は一歩絵麻に近寄ると、おごそかに話し始めた。それは、次のような内容だった。
わしら時神は、人間の記憶と現実の溝を修復する務めを担っている。
今回、絵麻の彼にしてやったように、ある人間の過去を書き換える、というか、あるべき本来の過去に戻してやるのじゃ。
人間は困ったもので、時として、交わった同士の二人でも、それぞれが別の過去を記憶として残してしまっていることがある。
つまり、ある者は喧嘩別れしたと記憶していたのに、その相手の者は第三者に無理やり別れさせられたと思っている、といったように。
そのままその二人が交わることがなければそれきりだが、年月を経て再び会ったときに、それが原因で話がこじれて、刃傷沙汰になってしまうこともある。
それも人の世の出来事と片付けてしまえばそれまでじゃが、神世にも審判者がいて、それが神の不手際によるものと裁いて、時神が責めを負うこともある。
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