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もっと困るのは、この世に未練を残したまま死んでしまった者の無念が、いわゆる幽霊となって現世に生きる者たちを不安に陥れるといった場合じゃ。
これはもはや人間の手には負えない。それを鎮めるためには、わしらがひと働きするしかない。
その解決のために、時神が幽霊となった人間の過去に踏み込んで、その過去を修正してあげるわけじゃ。
もちろん、ある者の過去を修正したからといって、他の者や社会に影響が及ぶようなことはない。それは、その者以外の者たちは、既に修正された過去を記憶として持っているからじゃ。
結果として、現実と違った過去の記憶を持っていたのは、その本人のみということになる。
人間たちにはわかりづらかろうが、そういうものと理解してもらうしかない。
そこで絵麻の担う巫女の役割じゃ。
神が人間の過去に入るのにはかなり苦労する。
それは、神々のいる空間と人間の住まう空間とで、互いに位相が異なるからじゃ。言ってみれば、同じ器に入っていても互いに混じり合うことのない水と油みたいなものじゃ。
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