14人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
二度目の挑戦
やはり勢いで物事を進めてはいけない。
しかし今度は準備万端だ、3か月に及ぶ準備期間を経て異世界転生の用意は整った。
「いざ!!」
宗親は異世界転生装置のボタンを押した。
一瞬、いやどれくらいかは分からないが意識を失い気づけばまた、あの白い世界にいた、あの管理人もいる。
「どうも」
「なんと⁉おぬしまた来たのか」
「だから自分の意思で来てるって言ってるでしょ」
「なんと・・・」
「さて、僕をこの前紹介してくれた世界に転生させてよ」
「しかし、お主えーっと・・・頭痛薬が無いからとか言って」
「うるさいなあ、だからいっぱい買ってきたよ一生分。3か月準備してきたんだよ」
「なんと」
「さあ早く!特殊能力は何がつくの?」
「特殊能力?」
「特殊能力知らないで管理人してるの?ほら!経験値2倍とか、錬金スキルMAXとか、最初からレベル999とか!!」
「なんのことじゃ」
「ほら!なんかピッ♪とするだけで自分の能力とかステータスをゲームみたいにウインドウを開いてどこでもいつでも見れる魔法とかあるんでしょ」
「ああ、特技とか魔法の事かの」
「なんだ分かってんじゃん。で僕にはどんな能力が付くの?」
「修練を積んで習得するとよいぞ」
「なんだって?」
「確かにお主の世界には実在しない魔法が転生先の世界にはある。しかし皆、幼き時より魔法学校に通い修練を重ね・・・」
「なーーーに言ってんの!僕はもう35歳だよ。今から学校行って勉強なんか出来る訳ないでしょ!最初っから使える様にしといてよ」
「魂だけ転生する場合なら、元々魔法が使える者や剣技に優れた者の肉体に転生する事でお主のいう通りの様な設定で異世界生活を始められるかもしれん。しかしお主は実体が有るではないか。どこへ行こうとお主はお主、能力やステータスに何も変わりはせんよ」
「うっ・・・」
ド正論を突かれて絶句する宗親。
今まで異世界転生する事だけに人生を捧げてきた。
異世界では大魔導士かはたまた剣聖として、歴史に名を残すような活躍をし清楚で巨乳な美人妻と暮らす日々が待っている。
そう信じて今日まで生きて来たのに・・・絶望で意識が飛びそうになる。
「さて・・・では行くかの」
「待ったーーーーーーーーーーーーーーー!!」
「どうしたのじゃ」
「帰る」
「え?」
「帰るって言ってるの」
「また?」
「まだ準備不足だった、帰る」
「いや、いくら実体が有るとは言えそう何度も・・・」
「帰るーーーーーーーーーーーーー!」
最初のコメントを投稿しよう!