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6回目
「さあ、僕をナチュレとかいう異世界に転生させてよ」
「また来たのか⁉それに今度は突然なんじゃ⁉彼女とやらはどうした?」
「彼女?誰の?」
「お主のじゃよ、食事に誘われたとか言っておったではないか」
「・・・・・・」
「あのー、わし忙しいので何も無いのであれば帰っていただいても・・・」
「なんだよ!冷たいな!!いつも一人で暇そうじゃん!!」
「毎日地球上でどれだけの命が亡くなり、霊体となってこの異世界の狭間に来ると思う?それを次なる世界に導く事こそがわしの使命なのじゃ」
「今やってないじゃん」
「お主がおるからの、お主が帰ったらまたやるわい。お主にわしの仕事を見せる訳にはいかんからの」
「そうか、忙しいのに僕の話を聞いてくれていたんだね」
「そういう事じゃ、ではお帰りになって・・・」
「聞いてよ!!」
「やれやれ」
「彼女ったらさ、僕の事を気になるって言っておきながら態度が冷たいというかよそよそしいんだよ」
「一緒に食事をした時に何があったんじゃ?」
「何もないよ」
「それはお主の感覚じゃ、実際は何を話したのじゃ」
「だから何も話してないよ」
「何も話さず食事だけしたのか」
「そうだよ」
「・・・絶句じゃ」
「なんだよ!」
「お主のう、何か話をしてあげる事はせなんだか?」
「無いよ、ましてや僕は人と話すのが大の苦手なんだ」
「わしには全くその様に見えんのじゃが」
「うるさいな!第一、誘ってきたのは向こうだろ。だったら話も向こうがしてよ」
「典型的なクズ男じゃな」
「どこが⁉」
「お主はもうその相手と会いたくないのか?」
「いや・・・それは・・・なんか可愛かったし・・・」
「だったら、前回の無礼を謝って次はお主が彼女を食事に誘いなさい」
「僕が謝る⁉無礼⁉」
「とボケて照れ隠しをしても無駄じゃ、本当は相手に失礼な事をしたと思っているのじゃろう、しかしどう修正したらいいか分からず憤っておる、そんなとこじゃな」
「・・・」
「道は示したぞ」
「・・・帰る」
「本当にもう来るでないぞ」
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