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夢は叶う
友井宗親(ともいむねちか)、年齢35、理系大学の准教授。
異世界転生モノの小説、アニメ、ゲーム。それらが彼の人生を決めた。
10歳の時に読んだ異世界転生アニメに衝撃を受けた彼は、異世界に転生する事を夢見た。
皆、彼の夢を馬鹿にした。
しかし、ついに今日、彼は夢の一歩手前までやって来た。
「ふっふっふっふっ・・・・ふははははははははははははははは。やった・・・・・・やったぞ!ついに完成した、異世界転生装置!理論上これでついに異世界に転生出来る筈だ」
誰もいない、誰も聞いていないのに大きな独り言を始める。
「もともと地球に僕の居場所など無かったのだ。そう。あの時僕が読んだ物語、あれは僕が本来住むべき本当の世界からの誘(いざな)いだったのだ!待っていてくれ、本当に僕が存在するべき世界、使命、運命の人よ!今僕はそこに帰るよ!!」
決意は固いものの、いざ装置を起動させる事をためらう宗親。
異世界転生装置の欠点は大き過ぎて持ち運べず、転生先に装置を持っていけない。
転生した先でまた異世界転生装置を作れる資源がある保証もない。
ワンチャンなのだ。
転生先でもうまく行かなかったら意味が無い。
この世界では東洋技術革新大学准教授という肩書があって収入もある。
それより低い地位でリスタートしたくない。
しかしそんな理由でためらっていたのは、ほんの数分。
宗親は装置のボタンを押した。
ブーーーーーーン。
ガタガタガタガタ・・・・・・・・・。
キュイーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!
宗親の体はこの世界から消え去った。
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