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『公園でアキ兄とキスしてたでしょ』
スマホごしに茶化されて私は固まった。その現場を暁人の妹、遥に見られていたらしい。
『暗いからって油断したでしょ。あたしの目はごまかされないんだからね』
そういえば、遥は午後から部活に行ってたんだ。中学の通学路だということを、すっかり忘れていた。
『これでまだ付き合ってないなんて信じられないよ』
「えっと……付き合うことになったんだ、私たち」
『…………えっ』
長い間のあと遥は変な声を出した。
『マジなの?』
「うん」
『やったじゃん! そっかあ、やっとアキ兄の気持ちが伝わったんだね』
遥はとっくに気づいていたんだ。自分だけ知らなかったなんて……私は結構鈍感なのかもしれない。
『おめでとう』
「ありがとう」
『で、どうだった? アキ兄とのキス』
「ど、どうって……」
遥の質問に、思わず唇にふれる。あのときの感触を思い出して頬が熱くなった。
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