Scene18

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 私には暁人がいるのに、どうして胸が苦しくなるんだろう?    同情なのか友情なのか、それとも愛情なのか……それは、言葉で表すにはとても難しい感情だった。  それに、苦しいのは璃月の方なのに。  両親を失って、お姉さんの心も失って。追い打ちをかけるような失恋に心が折れてしまわないかって…… 「そっか……心配なんだ……」  速めていた足を止め、私は通路の壁に寄り掛かってつぶやいた。    本当に助けが必要だったのは―― 「璃月……」  キミだった。    来た道を引き返す。  私の本当の気持ちを伝えなきゃ。  明るかった通路から薄暗い空間に戻り、目を凝らして璃月を捜す。 「璃月!」 「……夕?」  璃月はまだその場にいた。正面に回り込むと彼は視線を逸らした。 「なんで戻ってきたんだよ……」 「心配だから」  頬を涙で濡らしている姿に胸が痛み、私から初めて璃月を抱きしめた。 「夕……」  すぐに抱きしめ返され、彼の背中に手を回す。 「戻ってきてくれてありがとう……」  耳元の囁きにうなずきを返す。しばらくそうしたあと、私たちは歩き出した。
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