Scene15

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「たぶん、好きだよ」 「えっ?」  驚いた様子で抱擁を解く璃月。 「キミのこと、放っておけないって思うから」 「じゃあ……」  目をみはる彼に向かい、首を左右へ振る。 「でも暁人に感じる“好き”とは違うの」    すっと表情が消えるのを見て、胸がチクリと痛む。 「だから……ごめん」  傷つけたいわけじゃないのに、何を言っても追い打ちにしかならないような気がする。   「オレは夕の特別になれない?」  肩に手を置かれ、私は答えに詰まってしまった。    ……キミと話をしていると、笑顔を見たいと思ってしまう。そばにいてあげられたらって思うよ……    そんな風に感じるのは、もう特別な存在だからなのかもしれない。  親を亡くした悲しみを共感できてしまうから。  でも、だからこそ私じゃだめなんだ。   「なれないよ」  情けないことに声が震えた。嘘だってすぐにバレる。  だって、ほら……優しく目を細めて、微笑んでる。
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