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「たぶん、好きだよ」
「えっ?」
驚いた様子で抱擁を解く璃月。
「キミのこと、放っておけないって思うから」
「じゃあ……」
目をみはる彼に向かい、首を左右へ振る。
「でも暁人に感じる“好き”とは違うの」
すっと表情が消えるのを見て、胸がチクリと痛む。
「だから……ごめん」
傷つけたいわけじゃないのに、何を言っても追い打ちにしかならないような気がする。
「オレは夕の特別になれない?」
肩に手を置かれ、私は答えに詰まってしまった。
……キミと話をしていると、笑顔を見たいと思ってしまう。そばにいてあげられたらって思うよ……
そんな風に感じるのは、もう特別な存在だからなのかもしれない。
親を亡くした悲しみを共感できてしまうから。
でも、だからこそ私じゃだめなんだ。
「なれないよ」
情けないことに声が震えた。嘘だってすぐにバレる。
だって、ほら……優しく目を細めて、微笑んでる。
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