Scene15

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「嘘が下手」  ゆっくりと璃月の唇が近づいてくる。拒否しなきゃいけないのに、体が動いてくれない。  私は、璃月に慰めてもらおうとしてる。    でも、そんなの最低だ―― 「いや、だよ」  ようやくかすれた声が出て、璃月は動きを止めた。 「もう無理だよ」 「夕……」    両手で顔を覆うと、きつく抱きしめられた。背中を撫でてくれる手のひらが心地よい。  私はいつまで悲劇のヒロイン面をしているんだろう…… 「ごめんね」 「夕は何も悪くないだろ……」    煮えきらない私を責めることもなく、璃月はひたすらに背中をさすってくれた。 「悪いのは全部、オレだから」  泣き出しそうな声がする。胸にうずめていた顔を上げると璃月は瞳を潤ませていた。 「オレが……」 「夕ちゃん!」  何かを言いかけた璃月の言葉を、遥によく似た声が唐突に遮った。体を離した彼につられて、私は恐る恐る振り返った。
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