Scene16

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「幼なじみとしては、な? これからはちゃんと彼氏らしいことをしたいんだよ。俺たち付き合ってからろくにデートもしてないだろ?」  それに不満があったことは否めない。でも、黙っておくことにしようと思う。   「気にしてくれてたんだ?」 「ちゃんと考えてたよ」  どちらからともなく手を繋いで歩き出す。 「だから、いいんだよ」 「……そっか」  当てもなく歩いていたら、川沿いの桜並木まで来てしまった。花びらがハラハラと舞い、ふいに璃月のことを思い出してしまった。 『悪いのは全部、オレだから』  あのとき、何を言おうとしたんだろう?   「璃月がさ」 「えっ?」 「明日、夕と話がしたいって言ってんだけど。どうする?」  一瞬心を読まれたかと思ってビクッとしてしまったけど、暁人は構わずに続けた。 「え、ふたりで?」 「ああ。夕には黙っておこうかとも思ったけどな」  嘘が苦手な暁人は、きっとそんなことできないだろう。   「でも、これが最後だって言われたらさ……そんなことできないだろ」  やっぱり暁人はお人好しだ。そして、私にもそれが移ってしまったのかもしれない。
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