56人が本棚に入れています
本棚に追加
/30ページ
すれ違う想い
私もついムキになる。
「私は『レジャーアクティビティ』がしたいんじゃないの!
フリーダイビングは『競技』なのよ!」
「命がけのね!」
「安全に行えるよう対策を取ってるわ! 潜るときは必ずバディがついてくれる。私のバディはベテランの清美さんで……」
「バディが居たって海の上で何ができる? 浮かんできたときに意識があるかないかで判定をする競技なんておかしいよ!」
ダイブの結果が正式記録として認定されるためには、一連の手順がある。
海面に顔を出して15秒以内に顔面を覆う全ての装具を外し、手を上げてオーケーサインを示し、「アイム・オーケー」と発声しなければならないのだ。
これがきちんとできないと減点、意識混濁が認められれば失格となる。
樹はこれをおかしいと言う。
私の頭は混乱してきた。
最初のコメントを投稿しよう!