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樹の本音
「美佳はさ、僕とフリーダイビングのどっちが大事なの?」
「そんなの、呼吸で吸うのと吐くのとどっちが大事かって聞かれているようなものだわ。選ぶようなものじゃない」
「じゃあ聞き方を変えるよ。美佳の描く未来に僕は存在してるの?」
「えっ?」
「レッスン代や遠征旅費のために働いて、余暇は全てトレーニング。美佳の人生に僕の入り込む余地はないよね?」
「それは! 樹が私の夢を応援してくれるって言ったから」
「応援したさ。そして今日君は夢を叶えた! これが最後だと思えばこそ、こんな地球の裏側までついてきたんだ。これ以上続けるって言うなら、僕はいつまで待てばいい?」
私はショックで口をきけなかった。
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