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君がいる世界だから
「っ…!」
痛い、苦しい。
どこもかしこも痛くて、息をする度にどんどん痛さが増していく。
案の定俺は母親に暴力を振られていた。
母親はルカと出会った次の日の朝まで帰ってこなかった。
香水と酒の匂いが混じって気持ちが悪くて仕方がない。
そういえば俺は前世も女の香水の匂いが嫌いだった。俺に言い寄ってきた女の香水の匂いがあまりにも濃くて、気持ちが悪くて仕方なかったんだ。
ああ、気持ち悪い。痛い。気持ち悪い。
苦しい。痛い。
「あんたなんて、生まれてこなきゃよかったのに…!」
お前が産んだんだろうが。
俺はそんなことを考えながらも痛みに耐えるように目を閉じる。
俺は殴られながらルカのことを思い出していた。
そうだ。ここはルカがいる世界なんだ。
それだけで俺はどんなに痛くても、気持ち悪くても、苦しくても、生きていける。
この母親からの暴力も耐えられる。
大丈夫だ。ルカがいてくれるなら、俺はルカを救うために生きていける。
生きる目的をくれてありがとう、ルカ。
「う…っ…!」
女が何か暴言を言いながら俺を蹴飛ばす。
俺は全ての痛みから耐えるように拳を強く握り、また目を瞑った。
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