31人が本棚に入れています
本棚に追加
次の日の朝6時。
母親が帰ってきた。
この女朝帰りしか出来ねえのか、そんなことを考えながら俺は酒瓶で殴られていた。
その時だった。殴られた衝動で俺の中に、見覚えの無い記憶が流れ込んできた。
” 「あんたなんて生まれてこなきゃよかったのに!!」
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい…っ」 ”
酒瓶で殴る女と必死に何回も謝る少年。
その少年はすごく痛々しくて、ボロボロで…その少年は、…俺だった。
…っ…!こ、これは元々存在していたヨウの記憶…?
ヨウの記憶では俺はこの後瓶の当たりどころが悪くてこの世を後にすることになる。
せっかくルカに会えたのに、俺の人生はこんなところで終わってしまうのか…?
そんなのは嫌だ。俺は絶対にルカを幸せにするって決めたんだ。それが達成するまでしんでなんていられない。ついでに俺は”ヨウ”のことも救いたい。
しかし、どうすれば……
俺は朦朧とする意識の中必死に考える。
どうすれば体格差のあるこの女から逃げられる?
正直俺を殺してこの女が近所から通報されて一生刑務所暮らしっていうのもいい気がするのだが、ルカのためにそんなことは言ってられない。
うーん、どうすれば勝てるんだ、失敗したら確実に逃げられないだろう。一回限りの勝負だ。
「っ…!ぐ…っ…!」
…あっ、これだ!
俺は視界の隅でとあるものを見つけた。
もうとやかや言ってられない。
さて、今世一番最初の勝負。吉と出るか、凶と出るか…どうか神様が微笑んでくれますように、と願いながら俺は”それ”を実行する。
最初のコメントを投稿しよう!