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あれから何やかんやあって入学式だ。
俺はぼーっとしながら話を聞いていた。
今は生徒会長が何かを話している。
「この三年間は…」
生徒会長のことをぼーっと見ながら話を聞いていると何故か生徒会長と目が合った。
…何だろうか、俺の隣に花咲みのりという主人公がいるからか?
俺は気まずくなり目を逸らした。
俺が目を逸らした後に生徒会長もすぐに目を逸らしたのか、視線は感じなくなった。まあきっと主人公のことを見ていたのだろう、主人公はかなり騒がしいけど美少女だもんな。フラグも立つわ。
それからしばらくして特に問題が起こることもなく入学式は終わった。
「いや〜入学式長かったですね〜!」
花咲みのりは身体を伸ばしながらそう言った。俺も同じように軽く身体を伸ばし、「そうですね」と答えた。
花咲みのりは俺の少し前を歩きながら教室に向かっていた。俺も大人しくそれに着いていく。
数歩歩いた後、花咲みのりは何かを思いついたのか勢いよく俺の方に振り向いた。
「あの、せっかくクラスメイトなんですしお互いもう少しくだけた口調で話しません?呼び方もみのりとか渾名とか何でも好きに呼んでいいので!」
ああ、確かに俺達クラスメイトなんだし敬語っていうのもなんか変だよな…いやでも主人公と仲良くしていたら王子様に殺される…?
俺がそんなことを考えている間、花咲みのりはワクワクした顔で俺を見ていた。
俺は別にタメ口についてはクラスメイトだから断る理由はないと思い、「…別にいいです、いや別にいいよ。」と答えた。
すると花咲みのりは分かりやすく嬉しそうに笑った。
俺はわかりやすく喜ばれたのをどこか照れくさく思い、「…大袈裟」とだけ返しておいた。
「呼び方、私は変わらずヨウくんって呼ぶけどヨウくんはなんて呼ぶ?」
花咲みのりはそう言い、軽く首を傾げた。こういうちょっとした仕草がモテるのだろう。
主人公恐るべしだ。
花咲みのり、花咲みのり…呼ぶとしたらなんだ?単純にみのりちゃんとか?
うーん、それは仲良く見られて王子様方に殺される可能性あるし…苗字からとって花ちゃんとかが妥当だろうか。
俺は意を決して、「……花ちゃんで」と答えた。
「あはは、呼び方かわいいね」
花咲みのり…いや花ちゃんはそう言って花のように笑った。義理とはいえ姉弟揃って本当に花のように笑うんだな。
俺はまた照れくさくなり「…うるさい」と無愛想に返してしまうのであった。
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