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あれから担任の先生の話があり、今はクラス全員が自己紹介をする時間になった。
出席番号順にやっているため俺は春宮、だからなかなか順番が来ない。
しばらくしてようやく花ちゃんの自己紹介が終わり、俺の番になった。
どうやら全員名前と共に好きな食べ物を言うらしい。先生が名前だけじゃつまらないからとそう決めたのだ。大方食べ物ならみんな好きなものが何かしらあると思ったのだろう。
俺の好きな食べ物…孤児院で好きだった食べ物なんてなかったしどうしよう。
あ、ルカが小さい時にくれた肉じゃがが美味しかったからそれを言おうかな。
無難に終わらせて帰ってこよう、俺はそう思い教卓に向かった。
「え〜っと…春宮ヨウです。好きな食べ物は肉じゃがです。よろしくお願いします」
無難に終えた。クラスメイトの適当な拍手の音が聞こえる。俺は安心して自分の席に戻った。
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それから全員の自己紹介を終えて、先生がこれからよろしくな〜的なことを言って本日はお開きになった。
や〜っと、終わった。
俺はさっさと帰ろうと立ち上がろうとすると女子生徒が押し寄せてきた。え、怖い。
そういや俺顔だけはいいんだった。
「春宮くんこれからよろしくね、ヨウくんって呼んでもいいかな?」
「あっ、私も私も!ヨウくんって呼んでもいい?」
複数の女子生徒が俺に問いかけてくる。
こ、怖い…。前世もそれなりモテてはいたが、ここまでモテるのははじめてだ。放っておいたらファンクラブができそうだな…。
「あ〜えっと…」
俺が困っていると先生が「春宮〜」と呼ぶ声が聞こえた。
せ、先生ありがとう…!!神様……!!!
俺は「あ、呼ばれちゃったみたい。ごめんね」と言い、先生の方に向かった。
それにしても入学早々何の用だろうか。
ただ助け出してくれただけなら感謝するけど。
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