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あれから資料を運びに行った後、俺は先生に解放されて教室に戻っていた。
「全く、ヨウくんは人気者だね〜。女の子みんなちらちら見てるじゃん」
「ほんとだよな…はぁ…」
俺は自分の席につきながら前の席にいる花ちゃんと話していた。
周りの女子からの視線が熱すぎる。イケメンってこんなに大変だったのか…。
別に前世もある程度モテてはいたが、ここまでじゃなかった。ただ話しているだけなのに視線がすごい。
というかこれ俺と話してたら花ちゃんいじめられたりするんじゃないか…?
俺はせっかく初めて話してくれた子だというのにそれは嫌だと思い、花ちゃんにこっそり耳打ちをした。
「あ、あの…花ちゃん俺と話してて大丈夫なのか…?その、他の女子になんか言われたりとか…」
すると花ちゃんはきょとんとした顔をした後にあはは、と声を出して笑い始めた。
そんなに面白いことだったか…?
俺が慌てていると花ちゃんは俺に耳打ちをしてくれた。
「大丈夫、私実は柔道黒帯なんだよね」
そう言った後そこら辺のご令嬢なんて吹っ飛ばしてやるわ、と言いながら花ちゃんは握り拳をつくっていた。
この主人公強かすぎるだろ、王子様いなくても強いじゃん。花またの主人公もっとか弱かったはずですけど…騒がしいし強かだしなんなんだ、この主人公は。
「そ、そうなんだ」
「あっ、ヨウくんも何かあったら呼んでね!私がしばき倒してあげるから!」
この主人公本当に強すぎるな。
俺が感心していると花ちゃんは「ちなみにルカも黒帯だから何かあったらこの花咲姉弟に任せてね!」と付け足して言ってきた。
頼もしすぎるぞ、花咲姉弟。
ちなみにルカのことは小説で柔道黒帯、と書かれてあったから知っていた。色々イレギュラーな事態は多かったが、その点は変わらないんだな。
「ちなみに、ルカは何でもできるよ〜!頭はいいし、運動神経もいいし、料理もできるし、とりあえず何だってできる!」
花ちゃんはまるで自分のことを自慢するかのようにルカのことを自慢した。本当に弟思いなんだな。
まあ全部知っていたけど。姉様のために必死に頑張っていたんだよな…泣ける。
俺がそう思いながら感極まっていると花ちゃんは落ち着いた顔で唐突に爆弾を投下した。
「ルカは、ヨウくんのためにこの10年間生きてきたんだよ」
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