開幕

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あれからかれこれあって役職決めが終わった。 最悪だ。最悪だ。 結論から言うと俺は副委員長になってしまった。…正確にはさせられたのだが。 俺のことをあまりよく思っていないのであろう聖川マフユに推薦されたのだ。 こいつ、俺が嫌いだからって……俺が焦っていると明らかにざまあという顔をしていたから確信犯だ。俺は無罪だしちゃんと弁明したはずなのにどうしてこんな目に……。 保健委員の担当の先生に「誰か推薦や立候補はありますか?」と聞かれた時急に手を挙げたから何かと思えば「僕は春宮ヨウくんが副委員長に向いてると思います」なんて言いやがって、こいつ……! 周りの女子達も俺の顔が好みだからって私も春宮くんがいいと思います、なんて乗ってしまって結局断れない雰囲気になってしまった。ちなみに女子達が聖川マフユの意見に同調している間あいつはずっと笑いを堪えていた。 俺はさすがにいらっときて「聖川くんが書記をやるならやりま〜す」と言っておいた。その時の聖川マフユの嫌そうな顔ときたら傑作だった。この俺がやられっぱなしだと思うなよ。 結局俺が一年の副委員長、聖川マフユが書記となり役職決めは終わった。 そして俺達は現在鞄を取りに教室に向かっていた。空気は最悪だ。 俺が外の桜を眺めながら歩いていると聖川マフユは機嫌が悪そうに口を開いた。 「お前俺を推薦しやがって…」 「あれ、自分のやったこと覚えてないんですか?自分がやったことは返ってくるんですよ、小学生の時教わらなかったんですか〜?」 俺は盛大に煽り返しといてやった。 子供のようだとはわかっていてもやり返すのが俺の性分だからな。 ついでに鼻で笑ってやると聖川マフユはチッとわかりやすく舌打ちをした。 「大人しい顔して結構言ってくれるよな」 「ブーメランですけど?」
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