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” ルカ、ヨウくん今からそっち行くよ。”
その文字列に胸が熱くなる。
やっと、やっと会えるね、ヨウ。
ずっと会いたかった。触れたかった。
あの暖かい眼差しで俺を見てほしかった。
本当は俺が高校に入学してから会おうとしたんだけれど待ちきれなかったから、わざと鍵を忘れたということにして姉さんに一芝居うってもらったんだ。
ヨウが変なやつに取られる前に俺の痕を残しておかないと不安だった。
「…っ、はぁ…っ…ルカ…っ!」
しばらくして息を切らしながら俺の名前を呼ぶ声が聞こえた。俺が声の聞こえた方向を向くと俺の名前を呼んだ俺の大好きな人は嬉しそうな顔をした。
可愛い、俺がいたってだけでそんな顔をするなんて。可愛い、愛おしい…好き。
「ヨウくん、久しぶり。来てくれてありがとう。急いできてくれたの?少し髪の毛乱れてるよ」
俺はそう言い、ヨウの髪に少し触れる。
柔らかな髪の毛は触り心地がとてもいい。
髪が乱れてる姿すら愛おしく感じるなんて、本当に愛とやらはとんでもないものだと思う。
ヨウはありがとな、と言いながらも俺に髪を触られて照れているのかそれを隠すように顔を少し逸らした。
何でそんな可愛い顔するかな、俺が理性も何もない狼だったらどうするの?
「あ、そうだこれ…ったく、次は忘れないようにしろよ」
俺がそんなことを思っている間にヨウはハッと鍵のことを思い出したのか、俺に鍵を渡してきた。
ふふ、別に忘れてなんかないんだけどね。
騙してごめんね、ヨウ。まあヨウは俺のことを疑うなんてしないだろうけど。
俺は疑われないように「ありがと、助かったよ」とだけ言い微笑む。するとヨウは目を逸らしながら「べ、別に…ルカに会いたかったし」とだけ言った。
可愛い、見た目もあの時よりも綺麗に育ってるし…正直今すぐにでも抱き潰して俺だけのものにしたいけど今はまだ、ね。
今日は少しだけ、想いの種を蒔くだけ。
ゆっくり、ゆっくり確実に俺だけを見るようにする。逃げられないように、鎖で結ぶ。
俺は想いが顔に出ないようにできるだけ笑顔で「ヨウくん、よかったらこれから一緒に帰らない?」と聞いた。
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