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「………いつか、救ってみせるから」
突如ルカから紡がれた言葉に衝撃を受けた。
救う?俺を…?俺が救うんじゃなくて?
俺の頭の中ではてなが飛び交っているとルカが頬に触れていた手を離して俺の両手を両手で力いっぱい握りしめてきた。
まだ子供体温だからかかなり暖かい。
俺はそんなことしなくて大丈夫だよ、と言おうとした。しかしそれより前にルカの口が開いた。
「俺、ヨウくんを助けるために強くなるよ。俺が強くなって、ヨウくんを連れ出すことができたら…その時は二人で逃げよう、この世界から」
ルカの口から紡がれた言葉は想像以上のものだった。
まず第一に、俺を助けるために強くなる…?え、強くなるのはヒロインのためじゃないの?俺みたいなどこの馬の骨かもわからないような男のためにとか言っちゃ駄目だろ。
それと二人で世界から逃げ出す…どういうことだろう。ルカは今逃げ出したいのだろうか。
「……る、ルカくんは逃げ出したいの?」
俺が尋ねた言葉にルカは少し目を見開いた後、自嘲気味に笑った。
「うん、逃げ出したいよ。全てから。
でも俺は一人で逃げ出すのは怖い。
だから君を道連れにしたい。
ボロボロな君を救い出して、それで…」
ルカが言葉を止めた。
それから口を開こうとしない。
俺は不思議に思ってルカの顔を見つめて、口を開いた。
「それで…?」
ルカは少し辛そうな顔をした後、再び俺の目を真っ直ぐに見つめた。
その後紡がれた言葉が衝撃的なものだなんて知る由もなく俺はルカを見つめ続ける。
「それで、このシナリオ通りのつまんない世界から俺を連れ出して欲しい」
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