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…幸せにする、なんて言われたのは初めてだった。
初めはただボロボロな自分より少し身体の大きな少年を見つけて、何となく気になってしまったから声をかけただけだった。
ただ、話してみたその人はどこか不思議で俺の名前を聞くと嬉しそうにしていた。
何でそんなに嬉しそうに俺の名前を呼ぶのか、訳が分からなかった。
名前はヨウ、というらしい。自分の苗字も分からない変な人。
ただ、その人の視線はすごく暖かいような気がして不思議だったんだ。
何でそんなに初対面の俺を暖かい目で見れるんだろう。俺は、両親にも望まれていないのに。どうしてそんな視線を俺に向けるのかわからなかった。
ヨウ、って漢字だと陽って書くのかな。
本当に俺を運命から救い出そうとしてくれるなら、それこそ太陽のような存在だろう。
「ふふ、花と太陽なんて…こっちの方が運命みたいだよね」
また次はいつ会えるかな、などと考えながらお茶を嗜む時間はいつもよりも幸福に感じた。
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