369日の終わり

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 結論としては、男の体は一ミリも変わりなくそこにあった。 雪で大半は隠れてしまっていたから、一ミリも変わりないかはわからないが。 ここで、男の顔の向きがもし先程までと少しでも違っていたら、そのときは私の心臓はどこからともなく外へ飛び出していたことだろう。 取り敢えずは安堵する。 作業を終わらせてしまおう-- のろのろと床を拭き、そのタオルは今日の洗濯物と一緒に夜の内に回してしまう。 ハンバーグの入っていた男の食器は、一応洗っておく。 新しい食器に、煮込んだソースだけを少しよそって、テーブルのもとの位置に戻しておいた。 睡眠薬は、いまや髪の毛からでも検出でき、その期間は数ヶ月経っても可能だそうだが、この問題の解決は非常に簡単だった。 なんのことはない、神経質なこの男は、睡眠薬を常用していた。それだけの話だ。 ただ、髪の毛からでなく、料理や食器から薬の成分が見つかることは都合が悪い。 食器を交換した理由はそれだ。 時計を見る。 計算すると、全ての作業は二時間もかからず終わっていた。 まだ、長い夜を越えなければならないが、それでも、365日足す4日があっけなく思えるほどだった。 寝室から毛布を持ってきて、閉まった側の窓辺に座り込み包まった。 もう死んだだろうか、と思う。
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