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俺の質問に、リオの顔がぱっと赤くなる。
何もなかったわけじゃないのは思い出せるが、子供まで沢山作った前世と、どこかごっちゃになってる気がする。
「わ、忘れたの?」
「いや……たしか……」
俺は眉間に皺を寄せ、記憶をたどってみる。
やっとほんの少し恋人らしくなったのは、去年の秋ごろだったか。
「初めて……くちづ……キスしたのはこの部屋だったよな」
リオの顔の赤みがさらに増す。
自らあんなふうに〝告って〟きたくせに、高校生になっても何も様子が変わらないリオにあのときの俺はちょっと焦れてて、割と唐突に唇を重ねた。
顔を離したら、リオの目がちょっと甘い感じで潤んでて、あー俺たちきっと前世から好き同士だっただろーって思ったんだっけ。まだ何も思い出してないときだったけど。
それからも、あまり機会はなかったけど、人目をしのんで何度かキスしたな。
そうそう、〝クリスマス〟には、明かりを灯した街路樹を繁華街に観に行って、そこでもした。木の陰に隠れてて誰も見てないのに、周りを気にするリオがかわいかった。
「――この前の、シュンちゃんの誕生日のことも……思い出せる?」
恥ずかしそうに視線を落としたリオの顔を目にしたとたん、頭の中でふたつの情景が交差した。
ずり上がった薄いピンクの下着からのぞく、ささやかな膨らみ。
地面に敷いたマントの上で、突き上げる俺の動きに合わせて揺れる、白くて豊かな膨らみ。
どちらもめちゃくちゃ愛おしい。ふたつの情景は俺にとっては同じだ。全く同じように胸が熱くなる。リオ、やっぱりお前が〝彼女〟なんだろう?
「……憶えてる」
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