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遅すぎる恋。始まり
高校時代の思い出に浸り、気づけば私はずっと山崎君の隣にいた。
「懐かしいね、元気にしてた?」
ワイングラスを片手に、山崎君は笑顔で私にそう問いかける。
「うん!相変わらず元気だよ」
そうか。と言ってワインを一飲みする。
久しぶりに会っても、明るくて笑顔で優しいところは何一つ変わっていない。
私が憧れていた山崎君のままだ。
「颯太君!こっちで一緒に話さない?」
すると、何人かの派手な女子達が山崎君を呼んだ。
あんな綺麗な人達に誘われてる…何年経ってもモテモテなんだなぁ。
私はしみじみそう感じて、山崎君の側をそっと離れようとした。
「ごめん!ちょっと話したい人がいるから」
すると、山崎君は私の手からそっとワイングラスを取って近くの机の上に置いた。
そして私の耳元で"行こう"と呟いた。
困惑する私をよそに、彼はそのまま腕を掴んで出入り口の扉へ歩き出す。
私はただ彼についていくしかなかった。
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