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その日から、私と山崎君は授業の合間の休み時間によく話すようになっていた。
趣味や、休みの過ごし方、将来の夢など、色々なことを話しながら互いの事を知っていく。この時間が私にとって至福の時だった。
「ねえ〜颯太くん!こっちきてよー!」
また何人かの女子が山崎君に会いにクラスへやってきた。
山崎君はチラッと後ろを振り返るが、また私の方向へ体を向き直した。
沢山話せるのは嬉しいけど、私は別に彼女じゃない。私は、山崎君の時間を自分が独占していることに少し罪悪感を抱いていた。
このままずっと仲良くしてたら、みんなに嫌われてしまうかも。
"イケメン好きの地味女"
もし私にそんなレッテルが貼られていたら…そう考えると無性に怖くなってしまった。
「山崎君、あの子達と話してきなよ」
「なんで?俺は今藤下と話してるじゃん」
「私は隣の席だからいつでも話せるし!ほら、あの子達はクラスも違うし、貴重な休み時間に会いにきてるんだからさ」
山崎君は少し不機嫌そうな顔をして、ゆっくり彼女達の元へ向かった。
ごめん、でも周りの目にはどうしても勝てない。
私の心は強くなかった。
誰も気にならない、そんな場所で楽しくゆっくり話せたらいいのにな。
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