20人が本棚に入れています
本棚に追加
/23ページ
それから月日が経ち、3学期最後の席替えでも山崎君と近くの席にはならなかった。
全く会話はしないまま、私は授業を受けて友達とお昼ご飯を食べて、そして帰宅する普通の生活を送っていた。
相変わらず山崎君は、女子からキャーキャー騒がれるモテっぷりを見せていた。
彼の凄さにはいつも圧倒される。
そんなある日、朝のホームルームで担任の先生が何やらご機嫌な様子で話を始めた。
「冬休みの宿題でみんなに出してもらった作文ですが、このクラスから二人、優秀賞が決まりました」
「藤下と山崎だ!おめでとう」
私は驚いた。あんな作文、ただ適当に書いて出しただけだったのに。
先生とクラスみんなの拍手を浴びながら、私はふと山崎君の方へ目線を向けた。
すると山崎君も私の方向を見ており、目が合うと彼はクスっと笑った。
私もつられ、口元を緩めて笑顔を向ける。
「明日の学年集会でその作文を発表してもらうから、準備しておいてくれ」
先生はそう言うと、話題を転換させてまた次の話をし始めた。
最初のコメントを投稿しよう!