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その後も無事に式が終わり、卒業生は鞄を持ってぞろぞろと玄関へと向かう。
外には、下級生、先生達、写真を撮る親が既に待機していた。
"おめでとう"という言葉と拍手に包まれながら、ゆっくり歩く。
友人と沢山写真を撮り、沢山話して、また会う約束を交わして別れていく。
しかし私はあと一つ、やり残していることがあった。
それは山崎君へ渡す手紙だ。
「ちょっと待ってて」
親にそれだけ告げて、私は山崎君を探した。
しかし、どんなに探しても山崎君は見つからなかった。
もうほとんどの生徒達が帰宅しているので比較的探しやすいはずだが、外にはどこにもいない。
学校の中へ戻ろうと考えたが、既に荷物をまとめて出てきてしまっている故、もう教室に戻ることはできないだろうと思っていた。
もう帰っちゃったかな…
私は勝手にそう思い込んで、手紙を鞄の中にしまい込み、親が待つ場所へ足早に戻った。
卒業した日…
私はたった一つの後悔を持ち帰ってしまったみたい。
私の恋は一方通行のまま、何も伝えることができずに終わってしまった。
勿体ない、朝に渡せば良かったかな。
バカ、そしてドンマイ、私。
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