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「さては、ウソついてますね?」
「ついてません。そりゃ昔はいわゆる虚言癖っていうんですかね、そんなのがありましたけど。でも流石にウソつく意味、ここじゃ無いじゃないですか。普通に私、魔女的にはそこそこだと思いますよ。アイリアさんにも今なら負けそうな気さえしちゃうかなあ」
この発言も、校長が意外と弱いというよりは、アイリアもその段階まで魔女として完成されつつあるのだという実感をニルヴに与えた。仲のいい同級生で、入学してからずっと総合成績は2つ上で変わらない。
だが、その2つ上というのが、階段の上かと思っていたら、いつの間にやら雲の上、空のさらに上になっていた。そんな感じだ。
「僕も、もっと力をつけないといけないんですかね」
「それはないですね。何しろ力なんて、あなたの得意分野の知恵ってやつで、いくらでも覆せます。人類という種も生存戦略を知恵によって組み立てたから生き延び、君臨しています。だから、期待してますよ」
「そりゃ、どうも」
どうも、短い受け答えしかできない。ニルヴに限った話ではなく、多くの場合、校長の話の勢いにより、言葉が短くなりがちなのである。そして、校長の方はというと、遠慮なくまくし立てるのだ。
「それはそうと。そういうことでしたら、当然同じ意思を、彼女と共有できるんでは?」
「……ゼーレさんですか」
「なーんか、嫌そうな感じですね。いや、分かりますよ、理由は分かりますよ、常日頃からゼーレさんはあなたの話をしてますから。ほんとお疲れ様ですよ」
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