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Eins:Dienst
【近いかもしれないどこか】
全てが憎い、そんな風に思ったこともある。私は虐げられる存在として生まれたからかもしれない。生まれた時から、私は運命を恨んでいた。
けれど、懸命に、その奔流の中で生きようとした。それを間違っている運命とは思わなかった。あの頃に限って言えばそうだ。それは、生まれた頃からそういう扱いだったから、他が考えられなかったということなのかもしれない。
そう考えると、彼女の境遇というのは、極めて悲惨であった。恵まれた生まれと信じていたが、実際はこの世の悪そのものを盲信していただけだったと知ってしまったからには。唯一の大切なものと、いつまでも共にいられないことを悟ってしまったからには。
世界の価値なるものが全て崩壊してしまうのも、無理はない。それを全て抱え込めるほどの者もいるかもしれない。自明の理である以上、確かに多少の理不尽は、受け入れられるように人というものは造られている。しかし、その限界には個人差がある。
耐えることができずに吐き出した者と、全てを受け入れて呑み込んだ者。人間的に正常なのは、果たしてどちらか。
彼女は、許されざる者なのか、それとも悲しき罪人なのか。その正体は、立ち位置によって容易に変わりうるのだろう。本性が悪性か善性かも、計り知ることはできない。
境遇の悲惨さはある程度違えど、それは私も同じ。私は正しいことを為さんと奮闘している気でいるが、実際のところそれはただの思い込みなのかもしれない。少なくとも、「彼ら」からすれば私は悪であろう。
しかしそれでも、私は正義を疑わない。自分で自分が信じられなくなってしまっては、もはや私に意味がなくなってしまうから。
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