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異世界転移
気付くと草原の上にうつ伏せで寝ていたので、僕は驚いて立ち上がる。雪が降っていない……。と言うより、ここは何処だ?
周りを見渡すと一面草原が広がっていた。訳が分からない。更に目を凝らすと、ある方向に幾つかの建物が見える。距離は200メートルぐらいだろうか? 取り敢えず、僕は建物の方へ向かった。
すると、前から変な物体が近付いてきた。何とそれは、よくRPG等で見かけるスライムと呼ばれるモノに似ている。水色の水滴のような形に目と口だけが付いていて何故か笑顔。1メートルぐらいの大きさのそれが3体近付いてきている。
まさか……これは異世界転生? いや、別に死んでないから異世界転移か?
そうとしか考えられない。そんなにゲームをしないし、漫画や小説もあまり読まないから詳しくは知らないけど、流行りモノだから多少は分かる。
その主人公が僕なの?
という事は、無双出来るって事?
この手の異世界トリップ系の話は、冴えない主人公が異世界に飛ばされて無茶苦茶強くなるとか何とか……。
僕は自分の置かれた現状に胸が高鳴った。目の前のスライム3体は僕が無双出来るのか調べるのにちょうど良い相手だ。
僕は右拳を握り締め、スライムの1体に素手でパンチを放った。
バイイーン
ん?
僕は思っていた展開と違う事にビックリして固まってしまった。スライムはピンピンしている。まさかのノーダメージ? 更に、そのスライムが僕に体当たりしてきた。
バイイーン
「痛っ」
僕は尻餅をついた。僕が立ち上がると、他の1体が直ぐに向かってくる。
バイイーン
「痛っ」
僕は再び尻餅をついた。これは無理だと悟った。無双どころか、装備が無い事もあってレベル1の主人公より多分弱い。僕はスライムに背を向けて逃げ出した。
が、直ぐに回り込まれて体当たりされ僕は倒れる。素早く起き上がり、また逃げ出す。
が、再び直ぐに回り込まれて体当たりされ僕は倒された。僕の心は折れた。攻撃してもノーダメージ、逃げ出しても回り込まれる、スライムの攻撃は地味にダメージを食らう。
異世界だというのに、現世でイジメられていた状況と何も変わっていない事に気がついた。
助けて……。
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