110人が本棚に入れています
本棚に追加
拓海は2週間で退院した。
バンド『ジュピター』のメンバーから正式に脱退した。
ジュピターは破竹の勢いで売上を伸ばし、テレビでも引っ張りだこ。
そんなテレビ画面を見つめる拓海。
「拓海、悔しいんじゃない? 見ないほうがいいよ」私は言った。
「いや、嬉しいんだ。奴らも頑張っている。僕も新しい道で頑張らなくちゃいけないな」
「わたしのせいで・・・」
「ノンノン! 僕は愛に生きると決めたんで」
*
しばらく休養をとって私達は思い出の海、七里ヶ浜にやってきた。
コバルトブルーの春の空。もう夕方近いのか、空には白い満月が輝いている。
潮の波音、鼻をくすぐる海の香り・・・。
「悠月さん!」拓海は砂浜を歩く私を呼び止めた。
「そこから僕の方に歩いてきてください」拓海は叫んだ。
拓海が両手を広げて私を待っている。
私は拓海の胸に飛び込んだ。
長い抱擁・・・。
「悠月! 僕と結婚してください! 幸せにします!」
「はい! よろしくおねがいします!」私は拓海の胸で泣いた。本当の幸せってこういうこと?
それから拓海ととろけるような激しいキスを交わして、愛を誓った。
最初のコメントを投稿しよう!