Side 悠月 Destiny

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拓海は2週間で退院した。 バンド『ジュピター』のメンバーから正式に脱退した。 ジュピターは破竹の勢いで売上を伸ばし、テレビでも引っ張りだこ。 そんなテレビ画面を見つめる拓海。 「拓海、悔しいんじゃない? 見ないほうがいいよ」私は言った。 「いや、嬉しいんだ。奴らも頑張っている。僕も新しい道で頑張らなくちゃいけないな」 「わたしのせいで・・・」 「ノンノン! 僕は愛に生きると決めたんで」       * しばらく休養をとって私達は思い出の海、七里ヶ浜にやってきた。 コバルトブルーの春の空。もう夕方近いのか、空には白い満月が輝いている。 潮の波音、鼻をくすぐる海の香り・・・。 「悠月さん!」拓海は砂浜を歩く私を呼び止めた。 「そこから僕の方に歩いてきてください」拓海は叫んだ。 拓海が両手を広げて私を待っている。 私は拓海の胸に飛び込んだ。 長い抱擁・・・。 「悠月! 僕と結婚してください! 幸せにします!」 「はい! よろしくおねがいします!」私は拓海の胸で泣いた。本当の幸せってこういうこと? それから拓海ととろけるような激しいキスを交わして、愛を誓った。
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