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「ほれ、見たことか、これが俺からの最後のプレゼントだよ!」俊也は下卑た笑い声で立ち上がる。
「俊也、何てことしてくれるの!」
「ざまあみろ・・・俺から悠月を奪った代償はこんなもんさ」俊也は言った。
「最低! どうしてくれんのよ! 拓海がこのままだと死んじゃう!」
「ふん、いいきみだ! あばよ、若者!」俊也が後退りして去っていく。
近所の通報だろうか、警察や救急車のサイレンが迫ってくる。
俺は出血のせいで意識が薄れていった。
「拓海! 拓海!! 死なないで!」
「死、死ぬわけ無いっす。こんなことで。俺は悠月さんを幸せにすると誓ったから」
*
気づけば、俺は病院のベッドの上だった。
「拓海! 目が覚めた?」悠月さんの声だった。
「俺、やられちゃったみたいですね」
「ごめんなさい、私のせいで、私が死ねばよかった!」
「そんなこと言わないでください、俺が悪いんです。油断していた・・・」
「拓海、ごめん」
「俺の怪我はどんな感じっすか」
「左手首の静脈と筋肉を切られたようなの」
「ふう・・・」俺はまた再び目を閉じて眠りについた。
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