Side 拓海 end of love

10/10
前へ
/102ページ
次へ
「ほれ、見たことか、これが俺からの最後のプレゼントだよ!」俊也は下卑(げび)た笑い声で立ち上がる。 「俊也、何てことしてくれるの!」 「ざまあみろ・・・俺から悠月を奪った代償はこんなもんさ」俊也は言った。 「最低! どうしてくれんのよ! 拓海がこのままだと死んじゃう!」 「ふん、いいきみだ! あばよ、若者!」俊也が後退りして去っていく。 近所の通報だろうか、警察や救急車のサイレンが迫ってくる。 俺は出血のせいで意識が薄れていった。 「拓海! 拓海!! 死なないで!」 「死、死ぬわけ無いっす。こんなことで。俺は悠月さんを幸せにすると誓ったから」      * 気づけば、俺は病院のベッドの上だった。 「拓海! 目が覚めた?」悠月さんの声だった。 「俺、やられちゃったみたいですね」 「ごめんなさい、私のせいで、私が死ねばよかった!」 「そんなこと言わないでください、俺が悪いんです。油断していた・・・」 「拓海、ごめん」 「俺の怪我はどんな感じっすか」 「左手首の静脈と筋肉を切られたようなの」 「ふう・・・」俺はまた再び目を閉じて眠りについた。
/102ページ

最初のコメントを投稿しよう!

110人が本棚に入れています
本棚に追加