同窓会

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同窓会

 まるで二人の関係の象徴のようなあの日のことを、屋代は他の思い出同様、昨日のことのように覚えていた。  だから、同窓会で集まったとき、真っ先に高宮に声を掛けたのだ。 「よお! お前もう結婚してんの?」  わざとそんな質問をした。  興味があったし、なにより『言う必要があるか?』─── あの冷たい物の言い方は健在だろうか? と期待したからだ。  ところが、高宮はにこやかに言った。 「してるよ。お前は?」  屋代は戸惑った。  ああ………社交辞令ってやつか。  目の前の微笑みに、あの日より冷たいものを感じて、屋代はぎこちなく笑った。 「してるよ。子供もいる。」 「そうか、うちもだ。」 「お互い、順風満帆ってわけだ。」  屋代はお決まりのようなセリフを言った。  雰囲気は和やかなのに、胸がひどく寒かった。 「オレ、少し飲もうかな。」  屋代は高宮から離れて、お酒のブースに行った。  コップに吟醸酒を手酌で注ぎ、喉に流し込む。  熱い感覚が喉を通って、身体を温めた。  屋代はその場にいた女子と、適当に談笑した。  高宮とはもう、話したくなかった。  なんだかひどく、悲しかった。
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