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「友梨子とゆっくり会って話がしたいし、今回は1日早く東京に行くからさ。金曜の夜、メシでも食いにいかないか? 友梨子の会社の前で待ってるから」
「えっ? ちょ、ちょっとどういうこと?」
「うちの本社って友梨子の会社の近くなんだよ。だからさ、メシでも食いながら話をしようぜ。あの辺、お洒落な店が結構あるじゃん。なんか東京で友梨子と食事するって、昔を思い出すよな」
「勝手に決めないで」
思わず大きな声を出してしまう。
会社の前で待ち伏せされて、拓海と一緒に食事をするなんて絶対にあり得ない。
「勝手に決めるなって、もしかしてこの間の彼氏が、自分以外の男とは絶対に会うなとか言ってるのか?」
「か、彼氏って……」
急に彼氏と言われ、先日の杉原部長の顔が浮かんでくる。
「あいつ、何してるヤツなんだ? 彼女が友人とメシ食いに行くのも許さないなんて心が狭すぎるだろ。友梨子、あんな男がいいのか?」
「拓海には……、岩佐さんには関係ないでしょ」
「あっ、やっと拓海って呼んでくれたな、友梨子」
「もういい、切るから」
「おい、友梨子、近い将来俺たち毎日顔を合わせるようになるかもしれないだろ? だからさ、金曜日待ってるから一緒に……」
拓海は何かまだ言い続けていたけれど、私はスマホをタップして電話を切った。
何が近い将来毎日顔を合わせるようになるかもしれないだろ、よ……。
どうしてそんな自分に都合よく考えられるわけ?
そんなこと絶対にあるわけないじゃん。
私が拓海ともう一度付き合うなんて絶対に絶対にあり得ないし!
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