2回目の女子会

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「ねぇ、友梨子さん、その食事っていうのはやっぱりジュニアから誘ってきたんですか?」 「誘われたっていうんじゃなくて、経営戦略部のサポートを始めてから私が体調を崩したときがあって……。あっ、桐田さんに病院まで荷物を持ってきていただいたときです」 「ああ、あのときね。そうそう、思い出した! あのときの杉原部長、森下さんのことすごく心配してたもんね。高熱のうえに立ちくらみを起こして倒れたので、すみませんが家まで送ってあげてくださいって、タクシーチケットまでくれたのよ。しかも2枚よ。私が会社に戻る分まで」 そんなの全然知らなかった。 家まで送っていくって桐田さんに言われたとき、私はてっきり野上部長の指示なのかと思っていた。 杉原部長がそんなことを言ってくれていたなんて……。 「友梨子さん、体調を崩したから食事に誘われたんですか?」 「う、うん……。最初は無理をさせたみたいからお礼がしたいって言われたんだけど、私は大丈夫ですから気にしないでくださいって断ったの。そしたら、これは食事じゃなくて会食だ、ビジネスだって言われて」 「どういうことですか?」 「実は倒れたときに偶然ウィッグが外れたみたいで、杉原部長にバレちゃったの。それで杉原部長はこんな風にウィッグを被って自分の姿を隠して会社に来ている私のことをスパイだと思ったみたいなの」 『す、スパイ?』 2人が目をまんまるに見開いたと同時に、素っ頓狂な声をあげた。 「そう、最初はそう思ったみたい。でもそれはすぐに違うってわかってくれたんだけど、杉原部長から自分もゆくゆくはこの会社を背負っていかないといけないし、これから先、私みたいに姿を偽るスパイのような社員が出てきたらいけないから、偽りの姿と本当の姿がどのくらい変わるのか確認したいって言われて。だからこれは自分の目を養うためのビジネスとしての会食だって……」 「ちょっ、ちょっとそれってもっともらしい理由を言ってるように聞こえますけど、桐田さん、これは絶対口実ですよね? ジュニア、ガンガンに友梨子さんを誘ってますよね? ただ友梨子さんと一緒に食事に行きたかっただけでしょ」 「ほんとね。それは絶対に口実よ。だって私が病院に行ったとき、杉原部長から森下さんのウィッグを渡されたんだけど、別に驚いてもなかったし、既に知ってる感じだったもの。それにあれだけ森下さんのことを心配してたのよ。スパイなんて思うわけないわ。やっぱり仕事ができる男というのは、もっともらしい口実を考えるのが上手いというか、行動が素早いわね」 桐田さんと美鈴ちゃんは、それは絶対に口実だと言い張っているけれど、本当にこの2人が言うようにあれは口実だったのだろうか。
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