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「やっぱり鰻って美味しすぎますね。幸せ~」
自然と顔が綻び、毎回同じ感想を口にしながら、再びお重に箸を入れる。
「ほんとに美味しいね。これでまた私は明日から仕事頑張れるわ!」
「私もです。明日からまた仕事頑張る元気が出ます!」
少し甘めのタレと硬めのごはん、そしてふっくらと柔らかい鰻のバランスが絶妙で、一度口に入れると箸を止めることができない。鰻の美味しさに、3人ともがほとんど話すことなく鰻を食べることに集中していた。
「美味しすぎてなんかあっという間に食べ終わったね。もう少しゆっくり味わうつもりだったのに」
空になったお重に蓋をかぶせながら、桐田さんが満足そうにふぅーと息を吐く。それに続くように、美鈴ちゃんもお重の上に蓋をかぶせた。
「そういえば友梨子さん、ジュニアとはどこに食事に行かれたんですか? ジュニアってどんなお店をセレクトするんだろう?」
美鈴ちゃんと桐田さんに見つめられ、私は和食のレストランで食事をしたことを話した。
「うわぁ、フォルトゥーナホテルの和食のレストランで食事ですか? やっぱりジュニアは選ぶお店も違いますね! 私なんて最初のデートの食事、牛丼ですよ、牛丼。この違いって……。ほんとどう思います? だから私、最初のデートでわざと牛丼の大盛を注文してやったんですけど、引かれるどころか “次は特盛にしよう”とか、“次は好きなだけ食べられるバイキングに行こう” って誘われて……。食べるの好きだし、いっぱい食べても相手が全然引かないから、それがきっかけで付き合うことになったんですけど、結局私たちってホテルの食事に行ってもビュッフェになっちゃうんですよね。だから友梨子さんたちみたいにお洒落にゆっくりと食事するのって、めちゃ憧れます」
美鈴ちゃんの話と表情が面白くてクスクス笑っていると、今度は桐田さんから質問が飛んできた。
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