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「えっ、軽井沢ですか? 車で? ジュニアが運転して?」
そう、と小さく頷く。
「もうそんな遠くまで行かれたんですか? あのジュニアとドライブなんて想像しただけでワクワクしちゃう~! それに場所が軽井沢なんて、またジュニアのセレクトがお洒落すぎませんか? 私なんて最初のデートは電車に乗って井の頭公園ですよ。吉祥寺の井の頭公園!」
またしても美鈴ちゃんの顔がおかしくて笑っていると、「私、軽井沢にはまだ行ったことがないので行ってみたいんです。どうでした?」と美鈴ちゃんが身体を少し前に乗り出してきた。
「うん、自然がいっぱいで、花も緑も空も本当に綺麗で素敵なところだったよ。帰りたくなくてまた行きたいなって思った」
「もう、何なんですか~。そんなこと言ったらジュニアきっと大喜びで、すぐにまた友梨子さんを軽井沢に連れて行っちゃいますよ! あ〜、友梨子さんとデートしているときのジュニアの顔が見てみたい! ……あっ、友梨子さん、軽井沢に行ったっていうことは、もちろんあれもしたんですよね?」
もちろんあれもって……。
美鈴ちゃん、もしかしてあのこと言ってる?
日帰りなのに、軽井沢だから宿泊したって思っているのかな?
それってキスじゃなくて、やっぱりあのことだよね?
ここでそんな露骨に聞かなくても……。
「あっ、えっと……う、ううん。ま、まだしてない……。そ、その、ひっ、日帰りだったし……」
こんなことまで聞かれるなんて思わなかった。
恥ずかしくて急激に顔と身体が熱くなる。
「日帰り? 日帰りでも別にできますけど……。えっ? あっ! んっ? もっ、もしかして……ぷぷっ。友梨子さん何か勘違いしてます? 私が聞いたのは、カップルに人気のガラス細工体験です。ふぅーってガラスを吹きながら、自分だけのオリジナルグラスを作るやつ。軽井沢で特に人気なんですよ……っていうか、友梨子さんもう可愛すぎて笑っちゃう……」
友梨子さん、もう最高です──と言いながら美鈴ちゃんが大笑いし始めたかと思うと、桐田さんまでこらえきれなくなったのか、お腹を押さえながら笑いだした。
ええっ……、が、ガラス細工体験って……。
それならそうと言ってよ……美鈴ちゃん……。
私は何を告白してしまったのだろう。
もう恥ずかしすぎて両手で顔を覆ってしまう。
穴があったら入りたいとはこのことで、顔から火を噴いてしまいそうだ。
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