嘘と秘密と運命の恋 ～いろんなキミに恋をした～【コミカライズ原作】

２回目の女子会

「それはね、これから……そうね、杉原部長との噂が社内に広まり始めてからの方がいいかな。森下さんがウィッグを脱いでメイクをして、本来の姿で会社に出社するとするじゃない？ そうするとみんな絶対に驚くわよね。どうしたの？ 今までの姿と違うけど、どういうこと？ って。それは元カレからのストーカー除けだったって説明するの。実際には違うけど、これだけあの２人から被害を受けたんだもの。それくらい言ってもバチはあたらないでしょ」

桐田さんがふふふっと笑う。

「そしたら森下さんの姿を見た人たちはそれなりに納得すると思うのね。“なるほどね、これだけ綺麗ならストーカー除けであんな格好をしていたのもわかるわよね。元カレがしつこかったんだろうね” ってね。実際に元カレが森下さんに連絡をしてきたことで、先週奥さんが会社に乗り込んできたわけでしょ。まあ、奥さんが乗り込んできたことで不倫してたって考える人もいるかもしれないけど、元カレがまたストーカーになって森下さんに連絡をし始めて、それを知った奥さんが勝手に乗り込んできたんだって考える人もいると思うわ」

「なるほど、そうですね。元カレからのストーカーが怖かったって説明すれば、友梨子さんが自分を隠していたことも納得できるし、それに友梨子さんの本当の姿を見た人たちは、ストーカーされるのわかるわ～って思っちゃいますもん」

桐田さんの話を聞きながら、美鈴ちゃんが横で大きく頷く。

「次にね、じゃあ何で本来の姿で出社してるの？ ストーカーが怖いなら姿を隠しておかないとダメなんじゃないの？ ってなるじゃない？ そうなると杉原部長が受付で森下さんを助けた噂が役立つの。“杉原部長がストーカーを撃退したらしいよ” ってね。実際に受付で元カレの奥さんを打ちのめしたでしょ」

「そう言われるとそうですね。実際に私の同期は受付で現場を見てるわけですし」

美鈴ちゃんは桐田さんの話にかなり納得しているようだ。確かに私も桐田さんの言っていることは理解はできる。だけど、そんなに都合よくみんなが思ってくれるのだろうか。