2回目の女子会

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鰻屋さんを出て3人で最寄りの駅まで歩いていき、そこで解散となって、桐田さんと美鈴ちゃんは電車に乗って帰っていった。私はいつも利用するもう少し先の駅までひとりで歩きながら、先ほどの女子会を思い返していた。ひとつ提案があると言って桐田さんが話してくれたことは、とても心を揺さぶられる内容だった。 就職してからずっとこの姿で仕事をしてきた私としては、ウィッグを脱いでメイクをして出社するのは、他の社員からいろんなことを言われそうで正直とても怖い。 桐田さんが言っていたように、元カレからのストーカー除けだったという理由を信じてくれたらいいけれど、こればかりはわからないし、いくら桐田さんと美鈴ちゃんの2人が協力してくれたとしても、部長が最初私を疑っていたようにスパイじゃないかと疑われる可能性だってある。 でも、もしここで変われるなら、私も偽らない自分に戻りたい。 勇気を出して本当の姿で出社してみようかな? ストーカー除けって信じてもらえるかな? またスパイだって疑われたりしないかな? スパイという言葉から、そういえば──とまた女子会で話した内容を思い出す。 部長が私を食事に誘ってくれたのは、“私の偽りの姿と本当の姿がどのくらい変わるのか確認したいから” という理由だった。 だけど桐田さんの話では、部長から病院でウィッグを渡されたとき、部長は特に驚いている風でもなく、既に知っている感じだったと言っていた。部長は私が自分の姿を偽っていたことを最初から知っていたのだろうか?
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