ショウの正体

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外が明るくなり、時計が6時になったところで、私はベッドからゆっくりと起き上がった。頭が重くて身体も怠く、ベッドの上に座ったまま、ぼうっとしてしまう。 昨晩はほとんど眠ることができず、寝返りばかり打ち、部長と会うのが今日で最後なんだと思うと涙が溢れてきて、一緒に過ごしたあの軽井沢での1日を何度も思い出していた。 重い気持ちのまま鏡の前に移動すると、そこには涙のせいで目は腫れ、顔は浮腫み、最悪な顔の私が映っていた。その顔を見て、さらに気持ちが落ち込んでしまう。 最後くらい綺麗な姿で部長に会いたいと思っていたけれど、この顔だとそれも無理のようだ。 それでもこんな顔のまま会いたくなくて、最後の悪あがきではないけれど、私は一生懸命浮腫みを取り、精一杯お洒落をして出かける準備を始めた。 準備を終えて時計を確認すると9時45分になっていた。 鏡の前でもう一度自分の姿をチェックする。 あれからすぐにタオルで目を冷やしたり温めたりを繰り返していたことで、目の腫れは引き、しかもメイクのおかげでほとんどわからなくなっていた。近づいてよく見ると、瞼がほんの少し腫れているのがわかる程度だ。 よかった……。 これならいつもと変わらないよね。 整えるように前髪に触れながら、メイクと髪型を見てまずは安心する。続いて、服装に視線を移した。 服装は迷いに迷って先週この日のために買った、グレイッシュピンクの大人っぽいカシュクール風のワンピースにした。ソフトな生地なので綺麗なドレープが現れ、ウエスト部分はすっきりと見えるようにリボンが結べるようになって女性らしいノースリーブのワンピースだ。その上にカーディガンを羽織った。 このあと待ち受けているのは辛いことなので、こんなデートみたいな服装はやめようかとも思ったけれど、部長と会うために嬉しくて買ったワンピースだ。 一目だけでも部長にこのワンピース姿を見てもらいたかった。 不安そうな顔をしている自分に「大丈夫」と声をかけて頷き、マンションの下におりる。目の前には既に部長のSUVの車がハザードをつけて停まっていた。 その瞬間、一緒に軽井沢まで行った日のことを思い出し、泣きそうになるのをグッとこらえる。 気持ちを落ち着かせるように一度深呼吸をして、助手席の窓をコンコン──とノックすると、運転席に座っていた部長が窓を開けながらにこやかな笑顔を向けてきた。
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