南の島と雪寄せの巫女姫

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 飾り付けられた船が本土から滑るようにやってくる。  冬とはいえ明るい日射しの下、ベールを深くかぶった小柄な人物が座しているのが見て取れた。  浜についた船に近づくと、ライムンドは己の妻としてやってきた姫に手を伸べる。  武骨な男の手に重なったのは、たおやかな女性のもの。これからを思って落としそうになる溜息を飲みこんで告げた。 「ようこそ、パルガン島へ。ムースンの巫女姫よ」
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