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要するに。
つみきが悪役令嬢のディアナ・アガターになり、疾風は正ヒロインであるセシリア・カーシュになってしまったということである。転生や転移というより、成り代わってしまったという方が正しいのだろうか。なんせ、自分達が完全にディアナとセシリアの体を乗っ取ってしまっている状態なのだから。
「……なんか、ものすごく頭が痛い状態なのは理解したよ」
とりあえず部屋にて、現在つみきが分かっている話を説明。あの闇の中で聞こえた、弊社云々という言葉は彼も聞こえていたということらしい。
「今の科学技術っていうか、ゲームってすごいんだな。人を無理やり拉致って、ゲームの世界に連れ込むなんてことができるんだ、へー。科学の力ってすげー」
「物凄い棒読みになってます、神楽先輩」
「いや、正直頭クラッシュ状態で現実を受け入れるのを拒否してる状態。とりあえず、いくつかツッコミ入れていい?」
彼(体は彼女だが)はベッドに座ったまま己のドレスを観察したり、胸元を覗き込んだりとあからさまに観察してみせる。そして青ざめて、一言。
「何で女なんだよ、俺。その破滅のセシリアっていうの、男キャラもたくさんでてくるじゃん?なら普通に男に転生させてくれれば良かったんじゃね?しかもよりにもよって、主人公のヒロインって何?ていうか、俺の顔した女の子なんて嫌だよキモいじゃん」
一言では済まなかった。ずどどどど、と勢いよく飛び出すツッコミ。ほぼほぼ真っ当なものばかりである。
まあ、男としての自負があるなら、性別変わっただけで顔がそのまんまなんて冗談じゃないと思うのもわかるけれども。正直言って、そこはまったく違和感がなかったりする。ちょっと女の子にしては目つきが鋭いけど、強いて言うならその程度。むしろセシリアの公式グラと言われても遜色ないほどの美女に仕上がっている、と思う。ていうか、どう見ても現実世界のつみきより百倍可愛いのが複雑だ。
「一縷の望みかけて自分の体をくまなくチェックしたけどどこからどう見ても女なんですけど!無駄に巨乳だし!あのさ、はっきり言うけど俺も男なんだよ、こういう体は可愛い女の子についてるから興味を持つのであって、自分の体に欲しいなんて思ったことはまったくないわけ!誰得!?」
「体チェックしたんデスカ」
「というか、うすっぺらいネグリジェみたいな服で部屋で寝てたから、着替えるためにはすっぽんぽんになるしかなかったんだよ!」
「あー……」
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