<5・相談しましょ、そうしましょ。>

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<5・相談しましょ、そうしましょ。>

 とにかく、生きてこのゲームをクリアする。  とんでもない死亡フラグ満載のこのゲームの全てのフラグを叩き折って、二人揃って生還を目指す。自分達がやるべきことは、最初から決まっているも同然だ。 「……何で、こんな特典?みたいなものつけたんだろう。ゲーム制作会社は」  考えれば考えるだけ、つみきはうんざりさせられた。 「私だって、異世界転移してみたいとか、こういう西洋風のお姫様みたいな夢の世界?は現実よりずっと楽しいんだろうなとか妄想したことあるけど。この世界で死んだら現実世界でも死にますよ、なんて言われたら……せっかく飛ばして貰っても、楽しむ余裕ゼロになっちゃうじゃないですか。下手したら、せっかくのゲームの世界を嫌いになっちゃうかも」 「それは俺も疑問に思ってた」  うむ、と顎に手を当てて疾風は言う。声は確かに元の疾風より多少高くなっているし、女の子の体にもなっているのだろうが。だからこそ、男らしい言葉遣いと男っぽい仕草に違和感が凄い。  いや、顔がそのままであることに違和感がないのもそれはそれで凄いのだが。 「何だか、今回のイベント?そのものが……ゲームを買ってくれたお客さんへのサービスっていうものを超越しているというか。なんだか逆方向だなって印象で」 「逆方向……」 「この際、人をゲームの中にねじ込んで成り代わりを実行させるとか、会社にいる状態で突然穴作って異空間に突き落とすなんてことが可能なのか?なんてのは考えないようにしよう。ていうか、俺も君もいろいろ見ちゃってるし、そこが本当かどうかなんて考えちまったらどこまでもドツボにハマる結果になりそうだ。もう、そういうオーバーテクノロジーか魔法はあるんだってことで決めつけて考察した方がいい。……いや、わかるけどな、頭ぐるぐるするのは。できれば俺も認めたくないんだけどな!」  そこがちゃんと決め打てるあたり、彼はまだ現実が見えているような気がする。はっきり言ってつみきの方はまだ“これは何かの夢なんじゃないか”という感覚が拭えないのだから。  それこそ、疾風が一緒でさえなければ。自分はどこからが夢で現実であるのかも考えるのを放棄して現実逃避し、早々に死亡フラグを踏みに行ってしまっていたかもしれない。はっきり言って、メンタルの強さにはまったく自信がないのだから。 「なんというか、何かの実験にでも巻き込まれたって感じがすごい。だって参加するのはゲームの愛好者なわけだ。君が言う通りなら、主人公になろうが悪役令嬢になろうがそれ以外のキャラになろうが、大抵がどこかで死亡フラグを踏む可能性を孕んでるんだろ。一歩間違えなくても死ぬってなわけで。なら、この状況は一種ホラーのデスゲームにも違いない。ゲームを知る人間であればあるほど楽しいなんて思えなくなる、混乱する、パニックになる」  デスゲーム。
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