<5・相談しましょ、そうしましょ。>

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「で、ですよねー……でも、私も攻略法を全部見たわけじゃないですし……」  どうにか頭をとんとんと叩いて記憶を掘り起こす。こんなことなら、昼休みの時にもっと熱心に情報を見ておくべきだったと後悔する。いや、確かにあの時はここまで必死にゲーム情報を集めなければいけない状況に陥るなどとは全く思っていなかったわけだが。 「……基本的には、ルートは恋愛フラグと友情フラグによって決まってくるんです。もっと言うと、基本的には他のキャラクターの、セシリアへの好感度の高さによって変化します。例外もありますが」 「そこは一般的な、恋愛シミュレーションと同じってわけか」 「はい。で、確実私と神楽先輩が生き残れるルートは、やっぱり“悪役令嬢とヒロインの百合ルート”なんですよね。あ、このゲーム、BLもGLも普通に入って来ます。ヒロインが女性なので目立ちにくいですけど、他のサブキャラやサブメインキャラが男性同士でくっつくこともおかしくないので」 「ふんふん、そこは偏見ないから大丈夫。うちの部署にも男性同士のカップルと女性同士のカップルが三組ずつほどいるしな!」 「はい!?」  待って、突然爆弾落としていかないでくれ。つみきは思わず目を見開いてしまう。確かに、ちょっと大きな会社ではあるし自分達の部署だけでも相当な数の仲間がいるが。はっきり言って、みんな同じ部署でずっと仕事しているわけで。営業職のように頻繁に外に出ることがあるメンバーはそう多くはないわけで。 ――し、知らなかった。  事実は小説よりも奇なり。  いやはや、世の中何があるか分かったものではない。 「……今日のここの会話でまず、百合ルートへの最初のフラグが立つ選択肢が出現するかどうか変わってきます。今日、セシリアが悪役令嬢の好感度をある程度稼ぐような会話をすればそうなります」 「そのルートで行くのが一番いいのか?」 「そう見えると思うんですけど、必ずしもそうとは言い切れないのがまた難しくって。悪役令嬢とヒロインがともに生き延びることができるルート自体は他にも存在しないわけじゃないですし、そもそもこの悪役令嬢との百合ルートって他のルートよりもやや死亡フラグが多くて回避がなかなか大変で」  そういえば昨夜プレイしていたのも、この悪役令嬢との百合ルートだったなと思い出す。彼女と明確に恋愛関係になる前にゲームは終わってしまったが。  まあ、何かを企んでいるっぽい大尉を追いかけなければ、あの“どうあがいても死”の二択を避けることができるので、そこはセシリアになった疾風に注意を促せばどうにでもなると思うが――。
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